上下同じ色と生地で着こなすスーツスタイルと違い、上下それぞれをセレクトするジャケット&パンツのコーディネイトは、堅苦しさが排除されたリラックスした着こなしが楽しめる人気のスタイル。ビジネスシーンでも自分の個性を着こなしで表現できるビジネスカジュアルは、もちろんファッションとしても楽しめます。
ただ、自分が気に入った着こなしなら、どんなコーディネイトでも構わないというわけではありません。自分が勤める会社がどんな雰囲気なのか、上司のビジネスカジュアルが、どの程度の着崩し感なのかを見極めなければなりません。自分だけ浮いたコーディネイトになっていないか注意が必要です。
ビジネスシーンでは、ネイビーとグレー(もしくはチャコールグレー、ブラック)、ブラウンが基本色。この色同士の組み合わせをマスターすればほぼ完璧です。そこで、最初にジャケット&パンツを購入するなら、ジャケットはネイビーがお勧めです。パンツはスペアも考えて予算が許すなら2~3本同時に購入したいものです。色の優先順位は、セットアップのスーツスタイルとしても着こなせる同色のネイビーが一番で、次はグレーで最後がブラウン(もしくはベージュ)。これに2種類のシャツ、例えばホワイトと薄いブルーを用意すれば6種類のコーディネートが作れるわけです。一週間の中の6日間は違った着こなしを楽しめるのです。この基本パターンをマスターすれば、グレーやブラウンのジャケットでも同じように先ほどの基本色でコーディネイトすれば、許容される範囲をはみ出すことなく、ビジネスシーンを過ごせるはずです。
さらに、色の組み合わせと同じくらい重要なのがデザイン。少し前まではゆったりしたシルエットが流行っていましたが、今ではジャケットもパンツもスリムでタイトフィットなラインが主流となっています。一昔前のゆったりとしたデザインでは、やはり野暮な印象です。野暮なので、仕事もできないと思われてはビジネスマンとしては一大事。ぜひとも今の流行を意識したデザインを心がけたいものです。着丈が短く足も長く見える今風のデザインは、きっと気に入ることでしょう。
また、会社の中にあるそれとなく漂うドレスコードを気にすることも大切ですが、その日に会う取引先の方の日頃のコーディネイトも実は重要です。スーツにネクタイの堅い雰囲気ならセットアップのスーツスタイルで少しキッチリした雰囲気を醸して伺うなど、空気を読んだ着こなしも大切です。また、ブラウン系のジャケットは年配の方、ネイビー系は若い方に好まれる傾向があるので、自分の上司や部下と被らないジャケット選びも重要になってきます。
Vゾーンのシャツ選びでは、スリムタイプの人はワイドスプレッドで水平線を強調するシャツ。太ったタイプの人はナローカラーのシャツで垂直線を強調するシャツを選ぶのをお勧めします。もちろんカラーサイズが合っているのが鉄則。ノータイの場合は、襟腰(台襟)の高いものを合わせるとシャープに着こなせます。
色の数では、ジャケット&パンツの着こなしの場合、3色以内(もしくは3色プラス白)にコーディネイト色をまとめるとスッキリと落ち着いた印象になります。色数が多いと、まとまりにくくなるので要注意です。そこでベルトやシューズの色にも配慮が必要です。ベルトとシューズの色は同じが基本で、例えばネイビーのジャケットにグレーのパンツならベルトとシューズはブラウンにするとまとまります。色数が多すぎるとだらしなく見えてしまうこともあるので注意です。またシューズもビジネスシーンではプレーントゥやストレートチップ、ウイングチップの内羽根式のエレガントなものを合わせたいですが、外羽根式のものでも上品なシューズなら違和感なく合わせられるはずです。要はカジュアルすぎて崩し過ぎない着こなしに心がけたいところです。
ジャケット&パンツスタイルに限らずですが、ジャケットやパンツのポケットにはなるべくモノを入れないようにしたいものです。ポケットが膨れているのは、だらしないスタイルの極みですし、それでなくとも生地が傷んでシルエットも崩れるというものです。着こなしとともに扱い方にも気を配れば、ジャケット&パンツスタイルは、自分を引き立てる強力なビジネスツールになってくれることでしょう。































