スーツのベントはなぜあるか?

秋なのに急に暑くなったりと、気温の変化が激しい今日この頃ですが、皆さんの体調管理とスーツコーディネートはいかがでしょうか? 体調万全で、コーディネートも万全(のハズ)の店長前田です。

さて、毎日着ているスーツのディテールをあらためて見ていると、スーツの後身頃の裾部分に切れ目が入っていることに気がつきます。皆さんももちろんご存じのベントです。着やすく動きやすいために入っているというのは分かりますが、それ以外には何のために入っているのでしょうか? 今回は、このスーツのベントについてお話ししましょう。

このベントですが、その種類は大きく分けて3タイプ。まずは、後身頃の真ん中に切れ目の入ったセンターベントで、今の多くのスーツに見ることができるデザインです。そのルーツは、以前にもこのブログで少し触れましたが、その昔、馬に乗ったときに動きやすくするために切れ込みを入れたのが最初のようです。現代では、椅子や畳に座ったときのスーツシルエットへの影響を少なくするために役立っているといえるのではないでしょうか。腰への圧迫感も少ないので、歩くときにもスムーズな動きができるかも知れません。

このセンターベントには、切れ込みの一番上がカギ型になった、フックベントというのもあります。アイビージャケットやモーニングコートに見ることができます。クラシカルな雰囲気を楽しみたいならフックベントもお勧めですね。フックドベントと呼ぶこともあります。

スーツの後身頃のサイドに切れ込みの入ったタイプが、サイドベンツ。ベントは単数で、ベンツが複数なので、左右でベンツと呼び方が変化するのですが、このルーツは、水兵さんたちのピーコートから来ているというのが有力な説です。ピーコートのサイドスリットがそのままサイドベンツになったのですが、腰に提げた剣の抜き差しに便利なので、そのままスーツにも採用されたようです。日本でもその昔に軍刀を左側に差したときに便利なデザインとしてサイドベンツが多く採用され、“剣吊り”とも呼んでいました。

後身頃に切れ込みがないタイプが、ノーベント。イタリアンクラシコなどに多く採用され、最もドレッシーなデザインともいわれています。機能的な動きやすさよりもデザイン性を重んじたタイプともいえましょう。

この3タイプの中で、どれを選ぶかとなると、やはり無難なセンターベントが主流になるかと思いますが、今一番おすすめなのはサイドベンツです。
スーツパンツのポケットに手を入れたときのシルエット感は抜群によく、
カッコよく決まります。サイドの切れ込みがあるため足も長く見えます。
まるでモデルのように決まるのでデートシーンなどには最適かも知れません。

最近では、スーツのシルエットを美しく作るのにウエストを絞ったタイプが非常に人気です。ウエストを絞しり過ぎるとセンターベントでは、生地がめくれ上がることもありますし、ノーベントではシルエットを大きく変えることが出来ないのでやはりサイドベンツになってくるのです。

余談ですが、東京銀座のクラブでは、サイドベンツのスーツを着たオトコが、最もモテルという話も聞いたことがありますが、パンツポケットに手を入れたときにサマになるからなのでしょうか? 真偽は定かではありませんが、スーツもデザインとともにシチュエーションからとらえると、バリエーションの幅が膨らみます。固定観念にとらわれずにスーツを楽しみましょう!

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