秋といえばやはりファッションの季節。スーツスタイリングも一層気になるシーズンですね。ファッション雑誌をチェックしたり、街行くファッションに敏感な人たちのスーツの着こなしを観察したりと、いつも以上にファッションアンテナの感度を上げている店長の前田です。
秋冬のスーツの傾向は、ラペルの広いタイプが雑誌などに取り上げられ、注目されています。ラペルとはもちろん襟のことで、日本語では、下襟と呼んだりもします。幅が狭いナロータイプが人気となったり、広いワイドラペルが流行となったり、時代のトレンドに合わせ、変化していますが、今は、ゆるやかな流れですが、ナロータイプから幅広のワイドタイプに変わりつつあるようです。
今までの細身のスーツシルエットに合わせた幅のやや狭いラペルではなく、幅の広いラペルに移り変わろうとしているようですが、自分が着るスーツも時代の流れに合わせ、幅広のラペルをすぐに取り入れたい気持ちの人も多いと思いますが、ここは少し落ち着いて、本当に自分に合っているかという点を考えてみましょう。ラペルといえば、スーツの顔ともいえる、目立つパーツですよね。ラペルの幅が少し変化しただけで、着る人の印象がかなり変わってきます。
標準的なレギュラーラペルが、8から8.5センチですので、それ以下が、狭いタイプのナローラペルで、標準よりも幅広なのがワイドラペルと呼ばれています。一般的に、痩せ形の人は、ナローラペル、ふくよかな人はワイドラペルが、似合うともいわれていますが、顔の形や身長なども関係してきますので、あまり当てはまらないようにも思えます。ふくよかな人が、ワイドラペルの既製スーツを着た場合、横のラインが強調されすぎ、より太って見えるということもありますし、痩せ形の人が、ワイドラペルの既製スーツを着るとラペルだけが目立ち、アンバランスになることもあります。
やはりスーツは、着る人に合った全体のバランスが必要ですので、既製服では限界があります。オーダーメイドスーツなら流行を加味しながらその人に合ったスーツをつくりあげることができます。着る人の肩巾・胸囲(バスト)、顔の形や職業なども考慮し、全体のシルエットや色柄を考えます。細身の人には狭いラペル、体の大きい人はやや大きなラペルを選ぶことが多いですが、ときには逆に、痩せ形の人にややワイドなラペルのスーツや、ふくよかな方にナローラペルのスーツなどをご提案することもあります。今まで本人も気がつかなかったスーツスタイリングの魅力をうまく引き出すこともできるのがオーダーメイドの優れた点ですよね。
ラペル幅が変わっても、全体のスーツシルエットは、“痩せて見える”細めのシルエットを追求する傾向にあります。健康ブーム、ヘルシー志向はメンズスーツでも例外ではなく、根強いブームになっています。ところが、既製服や、パターンメイドスーツの場合は、着る人の体型に合っていませんので、きれいなシルエットを出すことが難しくなっています。特にふくよかな方の場合は、すっきりしたシルエットを出すのがさらに困難になっているようです。
オーダーメイドのテーラーでも本切羽やお台場仕上げなどのディテールに焦点を当てたお店ばかりが多く、オーダーでありながら肝心のシルエット(=型紙)にこだわった技術者が日本にそう多くいないのが現状ですね。
当店では、仮縫いという手法でお客様のご希望のシルエットを実現する方法をとっていますので、着る人の体型を考慮しながら昼のビジネスタイムでも、アフターファイブの遊びのシーンでも活躍できるすっきりスマートなスーツをつくることを実現しました。
スマートに見せるポイントしては、
◎肩幅をやや狭めにすることで、スーツ全体をシャープに見せます。
◎袖をやや細めにして、ウエストとのあいだにすき間を作ることで、お腹周りをすっきり見せます。
◎を長く見せる技、膝上5センチから下を細くすることによって、膝の位置を錯覚させ、足が長く見えるようにします。この秋は、信頼のおけるテーラーでスマートに見せられるスーツをつくり、ラペルで印象の変化を楽しみましょう。































