仕立てられたゼニアスーツには、赤、もしくは青のラベルが付けられています。このラベルは、どのような生地が使われたかを示しています。
赤ラベルが付けられているゼニアスーツは、ゼニアの正規代理店を通じて日本に輸入されたオーダー専用生地の生地を使って作られたスーツです。青ラベルが付けられたゼニアスーツは、専用の生地が使用されている既製品か、正規代理店とは別ルートから輸入された生地を使ったオーダースーツです(詳しくはこちらのページで解説しています)。
しかし、中には赤でも青でもない、黒いラベルが付いているゼニアスーツがあります。この黒ラベルについて説明しましょう。
黒ラベルには「Cerimonia(セレモニア)」という文字が記載されており、「フォーマル用として仕立てられたゼニアスーツ」であることを示しています。
とはいえ、フォーマル専用の生地というのは、ゼニアにはありません(ただし、ソルテックスだけは、フォーマル専用の用途を想定して、黒、白、濃紺の無地を中心に企画されています)。つまり、「黒ラベルを使うのはこの生地を使って仕立てたのだ」という明確な基準がないということになります。
最初に説明した、赤ラベルと青ラベルは「どの生地を使ってゼニアスーツを仕立てたか」を示すものでした。しかし、黒ラベルは「どの生地を使って」ではなく「どのような用途で」ゼニアスーツを仕立てたかを示すものです。これが、赤ラベル、青ラベルと黒ラベルの決定的な違いです。
黒ラベルの表示をもう少し詳しく見てみましょう。
黒ラベルの画像を見ると、3つ種類があるのがわかります。白で「Cerimonia」とのみ書いてあるものと、その下に赤字で「Trofeo」「Soltex」と書いてあるものです。
この違いは、使われている生地によるものです。基本的に、黒ラベルには「Cerimonia(セレモニア)」しか書かれず、どのレーベルの生地を使用したかは書かれません。なぜなら、黒ラベルが示すのは「フォーマル用に作られたゼニアスーツである」ということだけで、どの生地を使おうと関係ないからです。
しかし、例外的に、トロフェオ、ソルテックスを使用した場合のみ個々のレーベル名も書かれることになっています(2013年8月現在)。将来、この他のレーベル名が付いた黒ラベルが作られるかどうか、この2つのレーベルが今後もずっと黒ラベルに名前を付けられるかどうかは推測が難しいところです。
さて、仕立てたゼニアスーツに黒ラベルを付けるかどうかは、各テーラーの裁量に委ねられています。各テーラーは顧客とのヒアリングにより、仕立てるゼニアスーツに黒ラベルを付けるかどうかを判断します。
たとえば、同じ「ソルテックス」の黒の無地の生地でゼニアスーツを仕立てるとしましょう。顧客とのヒアリングにより、ビジネスユースを中心に着ることを想定して仕立てる場合は赤ラベルを、フォーマルシーンで着ることを想定して仕立てる場合であれば黒ラベルを付けます。このように、同じ生地を使ったゼニアスーツであっても、テーラーの判断によって付いているラベルの色が違うということもあるのです。
まとめましょう。黒ラベルは、フォーマル専用に仕立てられたゼニアスーツに付けられます。しかし、顧客とのヒアリングによって黒ラベルをあえて付けないケースもあります。ここから考えると、ゼニアスーツに付けられるラベルは赤ラベル、青ラベルがあり、それぞれに付属してフォーマル専用として仕立てたものにのみ黒ラベルが付けられる場合がある、ととらえるべきでしょう。
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