ゼニア・ダンヒルのスーツが85,000円でオーダーメイドで創れる。ゼニア・ダンヒルのオーダースーツ専門店銀座SAKAEYA

ゼニアスーツにも使われているのは、羊毛ですが、そもそもなぜ、羊毛がスーツなどの衣類に使われるようになったのでしょうか?羊毛の特性を調べてみたところ、次のような特性が明らかになりました。
羊毛繊維には、クリンプと呼ばれる縮れがあることにより、繊維の中にたくさんの空気を含むことができるため、保温性に優れています。さらに、羊毛は、汗などの水分を繊維に吸収させ、蒸発させる性質を持っています。つまり、汗をかいても、汗を繊維の内側で吸収した後に、その汗を外に発散させるため、体温を奪わずに衣服内の温度を調整してくれるということです。また、羊毛繊維の表面は、撥水性が高い薄い膜で覆われているため、水や汚れを表面で弾いてくれます。加えて、悪臭などを吸収し、分解させる性質も持っているのです。このような特性から、羊毛は、衣類に適していることが理解できます。
では、羊であれば、どのような羊でも、衣類やスーツに適しているのか?という疑問が出てきますが、そうではありません。羊の種類は3000種以上もあり、羊の種類によって、毛の太さ、長さ、縮れ具合が異なります。したがって、羊の種類によって、適用できるものが異なってくることがわかります。衣類や日用品に使われている主な種には、コリデール種、ロムニー種、メリノ種などが挙げられます。

例えば、オーストラリアや南米に多く生息するコリデール種は、毛の太さがやや太く、手触りが柔らかく、一定の圧力をかけても潰れず厚みを保つため、寝装寝具などに適しています。英国ケント州ロムニーが原産のロムニー種は、ニュージーランドにも多い毛長タイプの羊で、毛が太く長いため、カーペットに使用されています。
また、スペインが原産といわれ、羊毛のなかで最も衣類に適しているのがメリノ種です。さらにこのメリノ種は、オーストラリア・メリノ、ニュージーランド・メリノ、フランス・メリノの大きく3つに分けられ、その産地によってもさらに品質が異なってきます。メリノ種のなかでもスーツや衣類に最も使用されるのが、オーストラリア・メリノ種とニュージーランド・メリノ種です。
オーストラリア・メリノ種は、スペイン・メリノ種をオーストラリアの気候や風土、環境に適応させた種。羊のなかで最も細く、クリンプが多いのが特徴です。毛が長く、しなやかなので、最も衣料用に適している、と言われています。ニュージーランド・メリノ種は、ニュージーランドでの気候に適応させた、長くて細い脚を持った軽量の羊。繊維の太さは、19~24ミクロンほどで、弾力性と柔軟性があります。ほかの羊に比べて成長が遅い上に、出産率が低く、産毛量はニュージーランドウール全体の5%程度と言われています。
ゼニアでも、この2種の羊毛を採用しています。例えば、オーストラリア・メリノのみ使用しているレーベルといえば、トロフェオが挙げられます。また、細く強く光沢があり、弾力性と柔軟性に富むソルテックスの場合は、オーストラリア・メリノとニュージーランド・メリノ種を組み合わせて使っています。
さらに専門的にお話しますと、1頭の羊でも、腹側と背中側では、柔らかさや毛の太さは変わってきます。外気に直接は触れていない腹側は柔らかく、外気に触れやすい背中側の毛は、腹側の毛より固くなります。したがって、1頭の羊から一枚の毛皮の形に刈りとられた後、工場に運ばれ、部位別に細い糸と太い毛が選別されていきます。ゼニアの場合は、1頭の羊のなかでも最も品質が良いとされる、肩から脇の部位のみ買い付け、そのなかからさらに、厳選した羊毛をゼニアスーツの生地に使用しています。
また、子羊と大人の羊では、毛の柔らかさも異なります。子羊の毛は、大人の羊よりも柔らかく体が小さい分、ある一定の分量を刈り採るのには、複頭数の子羊が必要となり、その分コストがかかるということも理解できます。
羊毛といえど、様々な種類があり、その用途もまったく変わってくることがおわかりいただけたでしょうか?さらに、ゼニアでは、そのなかの最高品種と言われているメリノ種を選び、そのメリノ種の1頭のうちでも、最も品質のよい部位の羊毛を厳選している、ということです。このような背景がわかると、ゼニアスーツを着る喜びが増すというものです。
