ゼニア・ダンヒルのスーツが85,000円でオーダーメイドで創れる。ゼニア・ダンヒルのオーダースーツ専門店銀座SAKAEYA

外国から日本に輸入される生地の中には、正規ルートとは別のルートで入ってくるものがあります。このように、別ルートで輸入されたものは「並行輸入品」と呼ばれています。
ゼニアの生地のケースについてご説明しましょう。
ゼニアの生地には、大きく分けてオーダー専用生地と既製品用の生地の二つがあります。そのうち各テーラーにはオーダー専用生地だけが入ってきます。一方、既製品用の生地を購入するのは各アパレルメーカーだけで、一般に販売されることはありません。
オーダー専用生地にしても、ゼニアが直接各テーラーに販売しているわけではありません。日本では、ゼニアジャパン株式会社がまず生地を輸入し、各テーラーはゼニアジャパンから購入する、というシステムになっています。
シーズンごとに約800種類も企画されているゼニアの生地ですが、内訳としては、約100種類が既製品用で、そのほかがオーダー専用生地になります。ところが、既製品以外の約700種類のうち、企画のみで商品化されることのない生地が、約300種類ほど出てきます。つまりオーダースーツ用の生地は、毎年約400種類ほどが製品化されていくということになります。
約400種類もある生地の中には、日本人には似合いにくい、また日本人にはあまり好まれない色や柄も当然あります。こうした生地を日本で販売したとしても、売れない可能性のほうが高いと予想されます。そのためゼニアジャパンでは、日本人の好みに合いそうなもの、似合いそうなもの、またその年の流行などを加味して検討し、売れる可能性が高いと思われる生地のみを選んで輸入するのです。
つまり、日本以外の国には、ゼニアジャパンが選ばなかったゼニアの生地というものが存在するわけです。「並行輸入品」とは、日本に入ってこなかったこれらの生地を、ゼニアとはつながりのない個人や会社などが買い付け、ゼニアジャパンを通さない別のルートで日本に輸入したもののことなのです。
では、正規輸入品と並行輸入品とでは、生地に何か違いはあるのでしょうか? 生地自体はいずれもゼニア社が作ったものですから、品質の差はありません。「正規のルートで日本に輸入されたものかどうか」だけが違いであると言えるでしょう。
ただし、並行輸入品の生地で仕立てたスーツの場合、注意が必要なこともあります。
まず、ゼニアのスーツに付いている「ラベル」についてお話ししましょう。ゼニアのスーツに付けられている「ラベル」には2種類あります。赤のラベルは正規輸入品の生地で作ったオーダースーツに付けられ、青のラベルは既製品、それから並行輸入品の生地を使ったオーダースーツに付けられています。
ゼニアの生地でスーツを作るメーカーには、ビームスやポール・スミスなどの有名メーカーもあります。こうしたスーツには、メーカーのブランドタグとともに、ゼニアの既製品専用の生地で作ったスーツに付けられる青のラベルが付けられる場合があります。
しかし中には、ゼニアの青ラベルだけが付けられ、メーカーのブランドタグが付いていないスーツが、「格安のゼニアスーツ」として通信販売などで販売されていることもあります。こうしたスーツは「ゼニアの生地で作った、どこの会社のものか分からない型紙のシルエットのスーツ」であり、美しさとはまったく別物の単なるゼニアの生地を使用したスーツにすぎず縫製のレベル感も不安が残ります。
このように、並行輸入品のゼニアの生地で作られたことを示す青ラベル付きのスーツの中には、生地はゼニアのものを使っていても縫製やデザインに難があるものや、場合によってはゼニア以外の生地で作ったスーツに青ラベルを付けたものも可能性としてはあります。「ゼニアの生地の並行輸入品には注意が必要」というのは、こうした理由によるものなのです。
