ゼニア・ダンヒルのスーツが85,000円でオーダーメイドで創れる。ゼニア・ダンヒルのオーダースーツ専門店銀座SAKAEYA

ゼニアの「トロフェオ600」は、その名が示す通り、「トロフェオ」をベースに生まれたレーベルです。では、600というのは何を示している数字なのでしょうか。
実は、この数字は、混紡されているシルク(絹)の細さを示しています。
シルク(絹)糸の細さを示す数字には、いくつか種類があります。その中でも代表的なものが「番手」です。「番手」は、羊毛の糸の細さを示すときにも使われる単位で、1キログラムの原毛から、何キロメートルの糸が作れるかを表す数字です。たとえば、ゼニアの2013年の秋冬トロフェオには、縦糸に118番手の双糸が使用されています。つまり、1キログラムから118キロメートルの長さが作れる細さの糸を使って織っている、ということになります(番手についてくわしくはトロフェオのページでも説明しています)。
シルク(絹)の場合は、「原毛」はありません。しかし、考え方としてはウールの場合と同じで、「1キログラムあたり何キロメートルの糸になるか」を示します。つまり、トロフェオ600には、600番手、1キログラムあたり600キロメートル長さになるシルク(絹)糸を使用している、ということになります。 ということは、トロフェオ600に混紡されているシルク(絹)糸は、トロフェオに使用されているウールの細い方の糸より、5倍近く細い糸を使用している、ということになります。 シルク(絹)は、繭から取り出した時点ではなんと約9000番手に相当するほど細い繊維です。これだけ細いと、このままでは生地に織り上げることはできません。ですから、この細い繊維を何本も撚り合わせて、トロフェオ600の場合は600番手の太さにするわけです。
トロフェオ600に混紡されているシルクの割合は15%。15%とはいえ、これほど細い糸を使用しているわけですから、当然、重さも軽くなります。たとえば、トロフェオ600の場合、目付(1メートルあたりの重さ)は、なんと210グラム(2013年秋冬企画)。ちなみに、2013年秋冬企画のトロフェオの目付けが約230グラムですから、これよりさらに軽くなっている、ということになります。近年、ゼニアのレーベルは全体的に軽量化が進んでいますが、その中でもトップクラスに軽い生地だといえるでしょう。
ゼニアのシルク混紡生地といえば、春夏物の「SHANG」を思い出す方もいらっしゃるかもしれません。春夏物に混紡されているシルクを混紡して、秋冬物にふさわしい生地ができるのか、とお考えになる方もいらっしゃることでしょう。
しかし、シルクは通年使用できる素材です。なぜ、春夏に涼しく着られる生地が、秋冬は暖かく着られるのがというと、それは、シルク(絹)の糸の作り方に秘密があります。
9000番手に相当する細さのシルク素材を、糸に撚り合わせると、絹糸の中に空気の層がたくさんできます。空気は熱伝導率が低い、つまり、温度の変化を伝えにくいですから、保温性が高くなる、というわけなのです。これにより、夏はひんやり涼しく、冬は暖かく着ることができるのです。
この他、シルクには独特の光沢感や滑らかさがあります。シルク独特の光沢感についてはこちらのページで詳しく説明していますので、ここでは、滑らかさについて説明しましょう。
シルク(絹)は、蚕が吐き出したタンパク質の塊です。このタンパク質の成分は、人の肌に非常に近いと言われています。ウールも羊の毛なのでタンパク質が主成分なのですが、ウールの場合は、表面にスケールと呼ばれる、ウロコ状の構造があります(シャンプーのコマーシャルなどで聞く「キューティクル」を思い出すとわかりやすいかもしれません)。シルクにはこのような構造はなく、また、細さもずっとウールより細いので、触った時の感覚がより滑らかに感じるのです。
主成分がタンパク質であることは、また、シルク独特のしなやかさやコシにも関連があります。シルク(絹)の主成分であるタンパク質は「フィブロイン」というものなのですが、このフィブロインの分子は、非常に結合力が強いという特徴があります。つまり、簡単に切れたりすることがなく、強靭であるわけですね。その結果、シルク(絹)の織物もしなやかでコシがあり、ドレープ感あるものになるというわけです。
最高級クラスのウールを使用するトロフェオに、このような特徴があるシルク(絹)を混紡した結果生まれたトロフェオ600は、実は、従来は既製品のみに使用されるレーベルでした。しかし、2009年から、このレーベルはスミズーラなどのオーダー用にも使用されるようになっています。2009年といえば、トロフェオが大幅にリューアルされた時期。男性ファッションのトレンドも、より光沢感ある素材が好まれるようになってきた時期に重なります。この流行を受けて、ゼニア社も、シルク独特の光沢感を持つトロフェオ600をスミズーラ、オーダースーツ用にも使用すると決めたのかもしれません。
最高級のウールに、シルク独特の光沢感やドレープ感が加わったトロフェオ600。ドレッシーなスーツをお探しの方であれば、一度チェックしていただくべき素材の1つです。
| 生地NO.Z111-0463 | ||
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商品名 | トロフェオ600(春夏) |
| 色 | ブラック | |
| 柄 | シャドーストライプ | |
| 解説 | 2010年春夏デビューの新レーベル トロフェオ-600 1.5cm間隔の極太ストライプ インパクトのあるセレモニースーツを仕立てたい方ににオススメの1着です。 | |
| この生地の詳細はコチラ | ||
